金と人間との付き合いは5000年とも6000年とも言われていますが、おそらくはもっとも以前のことであると思われます。
具体的な形をもって現れたのは6000年前の古代エジプト王国にさかのぼります。
エジプトは太陽をその神として崇め、おそらくはナイル河から発見された砂金をもとに、輝く金を太陽の象徴として宗教的な財物として利用したものと思われます。
エジプト王家は代々金で作った宝飾をそのピラミッドに蓄えました。奴隷による金採取のための気の遠くなるような労働力の集約。金はまさに当時の権力の象徴と言えるでしょう。それをファラオたちは死後の世界まで持って行こうとしたわけです。
その財宝は、何千年もの間にそのほとんど盗掘の憂き目にあいましたが、それを生き延びたものが現在でもまだ残っており、神秘の光を放っています。
ツタンカーメン王の黄金のマスクはその中でも特に有名です。
権力の象徴であった金が、富の象徴、つまり貨幣として最初に用いられたのがリディアという紀元前7世紀から6世紀、小アジア(現在のトルコ)にあった王国だと言われています。
その後古代ギリシア、ローマでも金貨らしいものが残っています。
そしてアレキサンダー大王の時代には、スタテル金貨というものが鋳造され、その東方遠征に用いられ、その大帝国内で流通していたようです。
もう少し時代が下がって有名なのが、16世紀、スペインによって発見されたインカ帝国の黄金です。インカの黄金に魅せられたスペイン人ピサロによりインカ帝国は滅亡することになりました。
また同じくスペイン人コルテスによってメキシコシティは略奪されました。
そもそもコロンブスが最初に訪れた西インド諸島においても黄金の略奪は行われており、マルコポーロの東方見聞録には「黄金の国」としてジパングが記してあったことも忘れてはいけません。当時彼らがジパング=日本に至らなかったのは幸運であったと言ってもいいのでしょう。
こうして考えてみると近代にいたるまで金と人間の付き合いは決して幸せなものではなかったと言えます。
奴隷による気の遠くなるような労働により集められた黄金、それは権力を現す具体的なものとして、人間の欲の大いなる対象となり、それに引き寄せられるように強者による征服収奪が行われました。
金を冷静に語れるこの時代に生まれた我々は幸せですね。
~池水雄一氏の著書『ゴールドディーリングのすべて2』より
2010年07月31日
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